収入の面から考える大学医局に所属するメリット(医局に所属すると収入は減るのか?)

医局に所属すると収入は減るのか?

よく大学病院の医局に所属すると,大学病院は給与が低い,さらに医師人生の総収入も下がるから,所属することはやめたほうがいいという論調を耳にします(もちろんそれ以外の理由もたくさんありますが)

しかし実際はどうなのでしょうか?調べた範囲では,どこまで差がでるのか?言及しているサイトなどはなかなかありません.どれぐらい給与差がでるかシミュレーションしてみることにしました.

(私自身,医局に所属していますので,医局側のシミュレーションはかなりリアルに想定できると考えています)

条件設定

仮定ですが,2人の内科医がいるとします.かなり優秀で,2人とも紆余曲折を経て,最終的には50歳で両人ともだいたい同規模の市中病院の部長に就任したと仮定させてください.

え?大学所属だから教授になって,そこからのtotalでの比較じゃないの?と思われるかもしれませんが,教授になった場合,在職中の講演会などのごにょごにょや退官後の院長職などのごにょごにょなどでかなり差が出る気がしますので割愛しますね!

また家族構成や,子供にかかる教育費や家賃など含め家計の支出はだいたい同程度と仮定します(実は収入以上に支出をどうマネージメントするか?が非常に大きいと思いますが).ただ,大学院生中の学費や追加で支払う保険や年金などはカウントさせてください.お示しした数字は手取りではなく年収での計算です.

2人の医師の背景ですが

A医師→現役卒業後,初期研修2年,新専門医のプログラム3年を経て(29歳),中核地方の市中病院に勤務,9年目に病院を異動し(38歳),専門医資格や指導医資格を取得し45歳で専門科の部長職に就任した.

B医師→現役卒業後,A医師と同じ初期研修2年,新専門医のプログラム3年を経て(29歳),中核地方の大学病院医局に所属した.4年間の大学院生活を経て(33歳),関連病院に2年勤務したのち, 35歳で大学に戻り助教,40歳で講師に就任するも色々あって45歳で関連病院の部長職に就任した.

 

というわけでシュミレーション開始です!

 

A医師の場合

いやー非常に優秀な先生です.きっとばりばり症例報告や学会発表もこなされたと思います.

給与ですが,うーん難しいですね.市中病院といっても基幹病院や中小病院などで大きく開きがあります.

ただ,ばりばりの方ですので,まずは基幹病院に勤務されたと想定し,平均1000万円/年で9年間で9000万の収入とします(800万円からのスタートで最終的には1200万円まで上昇したと仮定し,大体の平均で計算).

もちろんその間に,総合内科専門医,専門科の専門医,さらにサブの専門医も複数取得しています.9年目で別の病院に異動し,途中で指導医の資格を取得したり医長に昇進したりしてだいたい平均1300万で7年間で9100万の収入になりました.

 

というわけで,29歳から45歳の部長就任までの15年間でに計1億8100万の収入が手に入りました.もちろんここからいろいろ引かれるので最終的に手元にいくら残るのかとは一概には言えませんが,世間一般と比較すると間違いなく高収入ですね!!

 

B医師の場合

まず大学院生時代ですが,これはどのような研究室に配属されたかで大きく違います.基礎系などでバイトが許されない,あまり許可されないところですと,無収入からせいぜい研修医と同じかそれ以下しか収入が得られないかもしれません.ただそういう設定にしてしまうと夢がなくなりますので,週1回の外来と当直,ならびに月数回の当直バイトをこなして年600万,4年間で2400万の収入とします(実際はもう少しもらえると思いますが,授業料や,院生の間は住民税や国民保険や国民年金などが勤務時代より重くのしかかるのでその分引きました.).

院の卒後2年間は,A医師と同様に年1200万,計2400万の収入と仮定しましょう.

大学に戻って助教,別サイトによれば,助教の平均年収は500万とのことです.ただ,やはり,外勤や当直のバイトに行くのでそこにプラスがありだいたい年1000万の収入があると考え,計5000万の収入となりました.もう少しバイトに行ければいいのですが,如何せん病棟業務をしながら研究を,下手したら学生指導やなんやらをこなさないといけませんもんね.

40歳で講師に就任です.いやーかなり早いですね.優秀だったのでしょう.講師の平均年収は600万程度とのこと.まあバイトなども加味してだいたい年1100万程度の収入になると仮定しましょう.という訳で45歳までの5年間で計5500万の収入が入りました.

 

という訳で(どういう訳だ?),29歳から45歳の部長就任までの15年間でに計1億5300万の収入が手に入りました!んーやはり高額ですね!素晴らしい!マーベラス!!

 

結論

双方を比較すると,2800万の差が生じました.地方だと普通に一軒家がたつレベルですね.ただこれはかなり大学病院側を甘く計算しています.多分,ガチガチに研究した場合は,院生時代は計0〜2000万,助教・講師時代で計9000万かなと考えます.さらに研究留学した場合は(特に家族を連れた場合は),年700万程度はかかると思います.もちろん,留学先で給与が出たりすれば別でしょうが,,,

ガチガチ研究でかつ留学した場合は,計1億2700万と算出です.そうすると差は5400万,,,子供を私立の医学部にいれることができそうなぐらいになっちゃいましたね!むむ,医局に残ってもメリットがあるぐらいの差に収まると思ったのですが,この差はかなり大きいですね.

結論ですが,収入の面においては2018年現在のところ,医局に所属せず市中病院で働いた方が,良さそうです.そして,それは数千万近い差になると考えます.

人生において数千万の収入差があれば,それはさらに大きな差にすることができます.それを元手に増やすもよし,いろんなことに使うもよし,選択肢をひろげることも可能となります.

結び

さて,いかがだったでしょうか.もちろん,これは仮定の話であり,必ずしもこの通りに現実が進むわけではありません.市中病院を選択した場合,もう少し収入が上がる可能性があります(もちろんもう少し低い可能性もあります).その一方で,雇用の不安定さもあります(仕事口を選ばなければ就職先には困りませんが,選ぶとなると,,,).また医局に所属した場合,研究せずに臨床をずっとやっていくことが許される医局もありますし,もちろん,医局人事のレールに乗って動けばいいという考えもありでしょう.

ただ,収入は現時点では,市中病院でやっていくほうがいいと思います.

しかし,今後,専門医の資格が必須になりゆくであろうこと,少なくとも現行の新専門医プログラムでは多くの人が大学病院のプログラムを選択しないといけなくなりそうなことを考えると,,,

どの道筋を選ぶかは本人の選択ですが,大体の得られるであろう収入を計算しておくことは,後々の人生設計において非常に重要です.

これから研修を始める,新専門医プログラムを来年からはじめるそういった人たちへの助力になることを少しでも祈って!では!!

 

※研修医と新専門医プログラムでも,大学か市中かで非常に大きな差がつきます.その計算,シミュレーションはまた今度の機会で!!

※※医局に所属して研究をするという選択肢を決して否定するわけではありません.自分にとっても大学院の時代は非常に有意義なものでした.確かに収入は減りましたが,かなりぬるい研究室だったので,いろいろいい経験ができたと思います.

 

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ABOUTこの記事をかいた人

研修医,大学院などを経て勤務医をしております 医療をおこないつつ投資を行なっておりますが,主体はインデックス投資になりつつあります