進行あるいは再発固形癌への代替療法としての免疫療法はおすすめできるのか(クリニックなどでおこなわれる免疫療法はいいものなの?)

この記事は,進行癌あるいは再発癌で根治性のない方あるいはその家族に向けたものです.

この場合の代替療法としての免疫療法とは,有効性が確認できていない・保険診療として認可されていない自由診療としての治療法をお考えください

これに加えて,たとえ他の癌種で保険認可されていても,まだ適応がなされていない癌種に使用する免疫チェックポイント阻害薬や,また施設要件や医師要件を満たしてない施設での使用もこの範疇に入れて話を進めたいと思います.とくにがん拠点病院以外のクリニックなどで行われている免疫療法が主体となります.

結論から言うと,おすすめはできない!いいものではない!になるのですが,国立がんセンターや他の医療機関やブログとは違う切り口からおすすめできない理由を解説したいと思います.

※もっとも,代替療法全てをだめ!というつもりはありません.もし患者に免疫にいいと言われてるからヨーグルト食べていいですか?と聞かれたら,下痢とかなければいいですよと答えますし,温熱療法なども,希望されれば行くのは構わないというスタンスです.

エビデンスがない代替療法と経験がないのに行われる免疫療法

医療機関のサイトや多くのブログなどで勧められない理由としてあげられるのが,エビデンスのなさと,施設要件や医師要件を満たさないところで行われる代替医療の危険性です.
これに関しては,本記事の主体ではなく,また他のサイトが詳しくそちらを参考にしてほしいと思います.

ここは飛ばして別の切り口からをみてもらっても大丈夫です.

エビデンスがない代替療法

特に国立がん研究センターがサイトで掲載している癌の治療方法の中の免疫療法,代替療法の記事が参考になるかと思います.

中山先生も言われる通り,代替療法を選択した場合は,標準療法と比較して2.5倍の死亡のリスクがあがりました.

他にもいろんな記事やサイトで,エビデンスのない代替療法は標準療法より,先におこなうものではないと記載されているのを目にするかと思います.私のスタンスも同様で,やはりまずは標準療法を優先すべきと考えます.また,中山先生も書いているように,あまりにも高額なサプリメントや,あまりにも・・・な治療はおすすめしません

経験がないのに行われる免疫療法

これは別の切り口からみるにも繋がるところなのですが,自由診療として行われる免疫療法の多くが,施設要件をみたさなかったり,経験のない医師により施行されています.

危険性の例示として,産経新聞の記事の3−7ページを参考にしていただきたいのですが,免疫療法というものは,従来の白金製剤などの殺細胞性の抗癌剤を利用した化学療法と比較すると確かに体への負担はそう大きくなく,重篤な副作用の頻度も減っています.しかし,副作用の出現を0にすることはできておらず,かなり特殊な副作用も出現するため,クリニックレベルで対応するのは困難だと考えます.これも,おすすめしない理由です.

(もちろん,うちは安全だよ!なにかあったら対応するよというクリニックもあるかもしれません.しかしそういうクリニックの多くが診察はするが,あとは近くの総合病院に丸投げ!というのを普通におこなってきます.これは病院同士の連携なんだよと言われるかもしれませんが,そもそも癌治療において,その施設で導入した治療に対して出現した有害事象に対応できないなら導入すべきではないと言いたいです.)

(もっとも,ならがん拠点病院や大学病院なら,標準療法や治験における免疫療法や免疫チェックポイント阻害薬を使用するのは安全だね!とは言い切れません.やはり,投与延期や治療中止になるような重篤な有害事象は出現します.ただ,そういう有害事象などが出現した時にまだ対応はしてくれる可能性は高いです)

 

別の切り口からみるって?

代替療法をしました.じゃあ,その先は?

では,上記以外で,代替療法やクリニックで行われる免疫療法をおこなうことをおすすめしない理由を語りたいと思います.

これは経験のない免疫療法でも語りましたが,施設要件はどうか?にもつながるところではあります.

現在のところ,進行あるいは全身転移という形で再発した固形癌の完全な根治になる治療法というのは確立されていません.逆を返せば,どこかで癌が進行して死につながるということでもあります.

(もちろん,癌の進行が緩やかだったりするかたも大勢いますし,その結果,癌以外の病気でなくなられる方もいます.)

そう.ここなんです.代替療法をしても,標準療法をしても,どこかで癌が進行して,それに対する対応をどうしようか?治療法がなくなった時にどうしようか?という話がでます.問題はここなんです.

治療をおこなった後に大事になるのが,治療効果はあったのか?画像などの評価や定期フォローはどうするのか?また,効果があっても時間を置いて転移などが出た時にどうするのか?になってくるのですが,これらの対応をきちんとおこなえている代替療法,免疫療法のクリニック,施設はほぼありません.

また,標準療法をおこなう病院では,進行して,治療法がなくなった時に,いわゆるterminal careができる施設や,もしなるべく自宅で長く過ごしたいという希望があるなら,在宅医を制定したりして,なるべく最後をどう迎えるか?迎えたいか?の要望に応えようとします.

しかし,免疫療法をおこなうようなクリニックでは,治療ができなくなったらそこで終わり.あとは癌難民が発生するというのが普通におこっています.で,尻拭いをほかの病院に押し付けるということを平気でおこなってきます.

もし,進行癌などで根治性が乏しいと診断された場合に,代替療法やその免疫療法の話を聞かれる際に,副作用が出現した時の対応や,根治できない場合,治療選択肢がなくなった場合にどうなるのか,どうするのかはきちんと聞いてください.きちんとしたがん拠点病院であれば,その病院でまずは有害事象の対応を,また進行時などは医療連携室などで相談してもらいながら,terminal care先や在宅医を制定しますと返答があるでしょう.そういうことを答えられない,きちんとそういうシステムが構築されていない病院での治療は非常に危ないと言わざるを得ません.

という訳で,すこし別の切り口から代替療法としての免疫療法をおすすめしない理由を書いてみました.たくさんの方が少しでもより良い医療が受けれますように!!

(もちろん,全てのがん拠点病院や大学病院でこういうことが素晴らしくできているということはありません.私も,度々,治療法がないから,あとはさよなら!みたいな扱いをされた方をみてきました.ただ,それ以上に自由診療として治療をおこなう医療施設での扱いは,,,だったので記載させていただきました.)

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研修医,大学院などを経て勤務医をしております 医療をおこないつつ投資を行なっておりますが,主体はインデックス投資になりつつあります